一流スポーツ選手にみる。自律神経を操る巧妙とは

アスリートにとってトレーニング以上にコンディショニングは競技結果に直結する重要な要素で、
格闘家のみならずあらゆるアスリートにとってコンディショニングは競技前に重要です。

コンディショニングは”自律神経の安定”が重要であることは間違いありません。

キーポイントは「自律神経」です。

スポーツの試合中は緊張状態にあるので、交感神経が高まっています。
もちろん、交感神経は体にアクセルをかける働きを担うので、試合中に交感神経が高まることは悪いことではありません。
ただし、交感神経だけが常に高まった状態でいると体が極度に緊張し、本来の実力を発揮することができないのです。
つまり、実力を100%出すコツは、気持ちを高揚させながらも、どこかリラックスした気持ちを保ち、冷静でいることです。

そのような状態を作るときに注目すべきなのが”副交感神経”です。

交感神経と副交感神経の両者がとても高いバランスで働く事により、パフォーマンスを最大限引き出すことができるのです。

選手に最も重要となるのは、試合時に練習で培ってきたパフォーマンスを最大限引き出す事です。

どれだけ日々練習を積み重ねたとしても、本番でその成果を発揮できなければ評価されません。

そのため、「自分の実力を100%出す」トレーニングを日頃から行う必要があるのです。

自分の実力を100から120に伸ばす事より、100ある力を安定して90出せるようコンディションを整える事の方が、本番のパフォーマンスを上げる事に効果的なのです。

すでに根性論だけでは世界と闘うことはできません。

そこで、科学や医学が進歩した時代に、新しい論点が生まれています。

それが "自律神経のコンディショニング”

 

一流のアスリートが最高のパフォーマンスを発揮するには「交感神経と副交感神経の両方を高いレベルにする」ことが大切なのです。

実はこれは、ビジネスマンにも同じ事が言えます。

日頃からハイパフォーマンスを出す事ができるよう自らをコントロールできれば、仕事の効率や成果が格段にアップしていく事になります。

 

【呼吸と自律神経】

一流アスリートが自律神経機能をコントロールする上で、最も大切にしているのが "呼吸" です。

アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダリストである室伏広治選手も呼吸法によるトレーニングを受けていました。

総合格闘家のヒクソングレーシーもヨガによる呼吸法をトレーニングやコンディショニングに導入していることも知られています。

その他、武道にも呼吸法が精通しています。

実は、自律神経を鍛える事は、筋肉や心肺機能を鍛える以上に重要である事があまり知られていないのです。


私達は、呼吸によって唯一自律神経機能を随意的にコントロールできます。

心拍も消化も発汗も瞳孔の動きも自分の意志ではコントロールできません。

呼吸は心拍変動を生み出し、自律神経に大きく左右し副交感神経機能を向上させることが科学的に知られています。

この呼吸によるアスリートのトレーニングはすでに軍事・宇宙開発・各種病気の治療にも導入されている優れた手法なのです。

 

【自律神経のバランスを乱さない】

イチロー選手は"ルーティン"を何よりも大切にする事はほとんどの方がご存知でしょう。

おなじみのバッティング前のルーティン動作に始まり、彼の場合は生活習慣・試合前の道ルート・階段の昇り方。

そして、試合前の練習では、決まって同じ方向への流し打ちから始めて練習が終わったら2時間のマッサージ。

決して、その日の気分で「今日はセンター方向から打ってみようかな」ということはないのだそうです。

イチロー選手が大切にする"ルーティン"

その効果はというと、毎日同じ事をする事で、いつもと少しでも違う感覚があれば”気づく事が出来るようになる”です。


そしてもちろん、結果を出す為に欠かせないトレーニングを行えるようにする事は上げられますが

実は "自律神経の働きを高める=試合で最高のパフォーマンスを発揮する" が何よりもの恩恵なのです。

 

自律神経が乱れる要因は "ストレス" です。

ストレスは、自分の想定外の事が起こった時・決断を迫られた時・何が起こるかわからない時などで特に強く押しかかります。

そして交感神経を不要に活発にさせてしまい、コンディショニングの妨げになってしまいます。

ですので、毎日同じ事をして、できるだけ不要のストレスから遠ざかる事が、最高のパフォーマンスをする上でとても重要なのです。

これは野球選手以外でも当てはまりますね。

ラグビーだと五郎丸選手が有名です。

ラグビーのキック選手は五郎丸選手以外もみな、自分のルーティンを持っています。


ルーテインによって五郎丸選手の何が一番整っているのかといえば、前述した”呼吸”です。
呼吸が整うと、自律神経が安定します。

すると、血流が末端まで行き、思ったところにキックできるようになるのです。

ゴルフでも、タイガーウッズ選手はパターの時に必ず2回、大きい呼吸をするのがルーティンです。
打った後、淡々と歩くのも、彼のルーティンです。

ほとんどのプロゴルファーは、打つ構えに入るところから全て”ルーティン”をやっています。

 

人間の体の中には60兆個の細胞があります。

パフォーマンスの向上は、この細胞に質のいい血液を十分に流すことができるかどうかにかかっていて
それができれば、手足の末端にまで血液が流れて、繊細で敏感になり、身体が色々な事に対応が出来るようになるのです。

そして、一流選手はこれらを試合の動作のみならず日常生活にまで組み込ませる事で、最高のパフォーマンスを発揮しています。

 

【まとめ】

スポーツ選手が「他の選手の動きがスローになった」「ボールが止まって見える」と話しているのを、聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

このような極限の集中状態を「ゾーン」と呼び、一流のスポーツ選手は無意識のうちに入ってしまう事があります。

この時の自律神経のバランスは交感神経と副交感神経が「1:1」

まさに最高の状態になっています。

 

もちろん、スポーツの場だけでなく、仕事でも「ゾーンに入る」経験をする事ができます。

例えば、仕事に熱中して雑音が気にならなくなったり、時間を忘れてしまったりする事も「ゾーンに入る」という状態なんです。


このストレス社会の中、およそ9割の人の自律神経が崩れていると言われています。

このようなゾーン状態に持っていく為には、ストレスによって乱れてしまった自律神経のバランスを日々意識的に整える事が重要です。

ビジネスマンも、日々納期に追われたり、会議に走ったり、多忙な仕事生活を送っていると、どうしてもストレスを過剰に抱えてしまいます。


そんな環境の中では交感神経が著しく活発になっており、副交感神経の働きが弱くなってしまいます。

その状態のままでは、優れたパフォーマンスを発揮することは難しいですね。

前述の通り、高いパフォーマンスを維持するために重要なのは「交感神経と副交感神経の両方を高いレベルにする」です。

「上司に怒られるかもしれない」「プレゼンで失敗したらどうしよう」など、強くストレスを感じながら仕事をしていると、否が応にも交感神経が優位になってしまいます。

そんな時、意識的に副交感神経を高めて自律神経を整えれば、集中力が増し、仕事のパフォーマンスUPが期待できるでしょう。

いつ何が起こるかわからないビジネスの現場で、最高のパフォーマンスを発揮する為にも、副交感神経が高いレベルで働く状態に整えておく事はとても大切です。


日常的に自律神経機能を高める工夫をし、あなたにとっての万全なコンディショニングをしていきましょう。

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