溜め過ぎは危ない!ストレスによる脳の緊張状態のメカニズム

私たち人間の脳には、「動物的な脳」「人間的な脳」があります。

「動物的な脳」は後頭部の領域にあり、
感覚的な知覚や筋肉の動きなど、原始的な働きを担っています。

「人間的な脳」は前頭部にあり、前頭前野という部分になり、人間特有の考える働きをします。
人間はこの脳の働きで、行動を起こす前に考えたり計画を立てたりします。
なので、私たち人間には
衝動的に行動する前に考えて、意思を選択する自由があるのです。

しかし、ストレスが多い状況では
この前頭前野の働きがなくなってしまうのです。

正常な状態の脳の情報伝達の流れは
まず、目から入り視覚皮質に進みます。
その情報は、視覚皮質からさらに前頭前野へと送られ、そこで評価され、どのように反応するかが決定されます。
そして、その決定は、筋肉を制御している運動皮質へと送られます。

目→視覚皮質→前頭前野→運動皮質の順番ですね。

しかし、過剰なストレスだと
この正常な流れが妨げられてしまいます。
得た情報は、前頭前野を通らずに感覚器官から直接運動皮質へと送られてしまうのです。

この様な流れを辿る理由は、
この仕組みは自身を守る為の生存本能でもあるからです。
例えば、日常で道を歩いている時に急に車がこちらへ突っ込んできたら、そこで足を止めて考えたりはしないで、とっさに避けますよね。

ストレスがかかった時に、考える部分である前頭前野が機能を停止するのは、生き延びようとする人間の本能です。

これを「闘争・逃走反応」と呼びます。

この時脳内では
前頭部への血流を減らし、ストレス反応に関わっている扁桃体への血流を増えています。
そうすることで、心拍数を増やし血圧を上げ、様々なストレスホルモンを体の中に送り出され、
ストレスの対象について、"闘う"か"逃げるか"の反応をとっさにできるように準備するのです。

しかし、このような仕組みは
私達の日常の中で体験する慢性的なストレスにはうまく対処ができません。

例えば、電車が止まって大事な会議に間に合わなくなってしまうような時、
この時は闘争も逃走も必要ないのですが、
同じようにストレス反応として脳は刺激され続けます。

そして、このような慢性的なストレスを常に受け続けていると前頭前野が機能を停止してしまうのです。

一方、ストレス反応に関わる扁桃体は常に働きっぱなしになっているので、興奮して静まらなくなってしまいます。

前頭前野は人間的に考える領域ですので
そうした状態が続くと、思考が停止し脳のパフォーマンスが著しく低下してしまいます。

さらにストレスがストレスを生み、悪循環に陥ってしまうと、冷静さを失って争う本能が強く出てきてしまいます。

このストレス状態にいると最後には、脳が休みかたを忘れてしまい、
交感神経が高まって休日にもリラックスできなくなり、常にストレスと緊張を感じてしまうようになります。

ここまできてしまうと、元の状態に戻るのに時間と努力が必要になります。

ストレスには段階が存在します
違和感を感じていたら、一度疑ってみて
初期の段階で早めに気付対処していく事が大切です。

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